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Thursday 29 July, 2010

「ツイッター連詩」が掲載されている「現代詩手帖」2010年8月号が発売されました。150行からなる「ツィッター連詩」には私のアカウント(@franzpeter_d944)からも1行採用していただきました。

「現代詩手帖」(思潮社のウェブサイト)

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Tuesday 15 July, 2008

ジョン・ダニング 『災いの古書』
John Dunning : The Sign of the Book
(横山啓明 訳 ハヤカワ文庫 HM205-9)
初版:2007/07/25 (558p)


 …というわけで、ダニングの古書ミステリー4作目。

 主人公クリフの恋人エリン(敏腕弁護士)のかつての親友ローラが登場。ローラはエリンから恋人ロバートを奪って結婚、以後、エリンとは疎遠になるが、そのローラがロバートを自宅で撃ち殺した罪で逮捕され、エリンに弁護の依頼が届く。クリフは事件を調べるため殺人現場に行き、そこで珍しいサイン本を大量に発見する。ロバートはサイン本のコレクターだったらしく、その蔵書の資産価値はクリフがざっと見ただけでも殺人事件の動機としてみても十分なものだった。 …と、今回は「サイン本」がテーマ。クリフがサイン本を追って古書フェアに出かけて捜査するあたりでは、古書フェアの裏側をのぞくことができて興味深い。最後に予想を裏切る(?)どんでん返しがあり、少し意外な結末につながっておもしろかった。

※このシリーズは古書に興味のある人だったらとてもおもしろく読み進めることができるでしょう。


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ほんばこ。


Monday 14 July, 2008

※2~3年前に読んだ本だけれど、おもしろかったのでここに書く。 …のシリーズ。


 ダニングの古書ミステリー、第4作目を読みかけと昨日は書いたけれど、読み終わってしまった。

 さて、シリーズ4作の中で私がいちばん気に入っているのが3作目にあたるこの『失われし書庫』だ。19世紀のイギリスの探検家リチャード・バートンと交流のあった祖父の書庫内の書物が、祖父の死後にまるごとだましとられてしまった、と訴える老婦人の依頼で、主人公クリフ・ジェーンウェイが探査に乗り出す。

 クリフの書物探査という現在の時間枠の中で1860年のリチャード・バートンの旅行が物語られるが、この二重構造がとてもおもしろかった。史実として、1861年、ムールトリーの要塞での南軍の砲撃が南北戦争の開始だと言われているそうだけれど、この物語では、そのちょうど1年前、バートンが北米を旅行した際の空白の期間(この期間、彼がどこで何をしていたかは不明)に実はこの要塞を訪れていた、ということになっている。その前後の、公には知られていない(記録されていない)バートンの旅行の話が克明に語られるところなどは、「劇中劇」の形の創作なのだとわかっていても、秘密の歴史が明かされるようで、読んでいてドキドキしてしまった。


ジョン・ダニング 『失われし書庫』
John Dunning : The Bookman's Promise
(宮脇孝雄 訳 ハヤカワ文庫 HM205-8)
初版:2004/12/22 (588p)



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ほんばこ。


Sunday 13 July, 2008

※2~3年前に読んだ本だけれど、おもしろかったのでここに書く。 …のシリーズ。


ジョン・ダニング 『幻の特装本』
John Dunning : The Bookman's Wake
(宮脇孝雄 訳 ハヤカワ文庫 HM205-2)
初版 : 1997/09/26 (598p)


 『死の蔵書』がおもしろかったのでこの続編も読むことにした。3作目までは2年くらい前にまとめて読み、ちょうど今、4作目をいろいろな本の間に挟んで読んでいるところだ。

 この『幻の特装本』で扱われる特装本とは特別に意匠を凝らして作成された限定本だ。コレクター向けの高価な本だが、その本が出版された際の特殊事情、出版された後に本がたどった道、あるいは本の著者の人気、本デザイナーの技量その他によって価格がどんどんあがっていく(こともあるらしい)。コレクターズアイテムというより、一種の「資産」にも見える。そして、そうした高価な本には必ず光と影がある。今回はポーの「大鴉」の限定版をめぐる事件。製本や本の職人たちについての専門的な話題が散りばめられていて、その点は古書業界に身を置いていた作者ならではのもの。主人公が手にする1冊1冊の本についての描写が非常に具体的で、あたかも自分がその本を目の前にしているかのような現実感がある。この「大鴉」の特装本それ自体は現実に存在しているのではないかと一瞬思ってしまったほどだった。


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ほんばこ。


Thursday 26 June, 2008

※2~3年前に読んだ本だけれど、おもしろかったのでここに書く。 …のシリーズ。


ジョン・ダニング 『死の蔵書』
John Dunning : Booked to Die
(宮脇孝雄 訳 ハヤカワ文庫 HM205-1)
初版 : 1996/02/29 (548p)


 本のタイトルにひかれて手に取った本。
 作者のダニングはミステリー作家として世に出た後、あれこれあって作家業を一時休止し、稀覯本専門の古書店を開業…というちょっと変わった経歴の持ち主。古書店を経営しながら、再びミステリーの創作を再開した彼が古書を題材にした作品を発表したのはごく自然の成り行きかもしれない。

 古本の掘り出し屋が殺された事件を捜査する刑事ジェーンウェイ。古書収集という趣味を持つ彼が古書にまつわる専門知識をもとに事件の真相に挑む。ジェーンウェイはやがて警察を辞めて古書店を開業するに至るのだが、その古書店開業の発端を描いた作品が本作。

 本作の中で殺された「古本の掘り出し屋」とはいわゆる「せどり(転売)」を生業としている人のこと。各地の古本市やノミの市などで、二束三文で売られている一見価値のなさそうな本の中から高額な価格で取り引きされる古書を見つけだして古書店に売りさばいて利ザヤを手に入れている人たちのことだ(この作品の中ではそういうことになっている)。

 全編にわたってジェーンウェイの(もしくはダニングの?)古書あるいは書物全般に対する一種の「哲学」的な意識が散りばめられており、至るところに本の話が出てくるわけだから、本の好きな人にはたまらない読み物だろう。


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ほんばこ。

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