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Sunday 28 February, 2010

「今日の東響定期になんで来なかったんだ」という趣旨のメールが友人から届いて(よい演奏だったらしい…)、「なんでって、なんでって…すっかり忘れていた、って、今ちょっと言えないかも…」と思いつつ、今晩は「LOST」シーズン1の連続放送を録画したものをまとめて見ていた(シーズン5までの全話を既に1度見終わってしまっているのだが、もう1回最初から見返すと前には意味不明だったセリフの意味がわかったり、1つのセリフに二重三重の意味が隠されていることがわかってこれが結構おもしろいのだ)。実は昨日の(日付的には一昨日の)シティフィル定期のこともすっかり忘れていた…。どちらも「当日券で聴きに行こうかなあ、どうしようかなあ…」と考えていたのだが、手元にチケットがない、とか、電話できちんと予約しておかなかった、というような公演はどうしても意識から消えやすい、と思うのだ。決して老化ではない、と思いたい(というのも、そんなのは学生の時からだから…)。だいたい、私はチケットを買っておいても、その日、コンサートだ、ということを忘れがちなのだから、当日券で聴こう、というのは、実はちょっと危ない。(忘れる危険性が高い)

それはともかくとして、バンクーバーオリンピックのフィギュアスケートで浅田真央ちゃんが使ったラフマニノフのプレリュードに感動した別の友人から、今朝、「ラフマニノフといえばピアノ協奏曲はよく聴くけれど、ほかの曲も聴いてみたいから、何かオススメがあったら教えてほしい」というような内容のメールが届いた。

それで今日は返信をいろいろ考えていたのだが、おもしろいのでここにも書いておきたい。


学生の頃、ロシア音楽に少しかぶれてあれこれ聴いていた時期があった。自分がロシア人の生まれ変わりではないかと思うほど、自分の気分にしっくりきていた時期さえあったくらいだ(ほんの一瞬)。6人組の中ではボロディン、リムスキー=コルサコフがいちばん好きで、リムスキー=コルサコフの交響曲第2番など一体何回繰り返して聴いたか、というくらに大好きだった。

リムスキー=コルサコフ / 交響曲 第2番
第1楽章
第2楽章

・ 第3楽章



第4楽章


ちょうどその頃、ラフマニノフもよく聴いていたのだが、当時、私が好きだったのはピアノ協奏曲だったら第1番、しかしピアノ協奏曲よりは交響曲第2番とか合唱曲の「鐘」の方をよく聴いていた。今日、友人とのメールで話題にしたのは交響曲第2番、合唱曲の「鐘」、2台のピアノのための2つの組曲。


合唱曲の「鐘」というのは人生には4つの鐘があるという内容のエドガー・アラン・ポーの詩に基づいたもので(詳しくは → ここ)、


第1楽章 そり遊びの銀の鈴 (幼年時代)
第2楽章 婚礼の金の鐘
第3楽章 騒乱の銅の警鐘
第4楽章 弔いの鐘


真央ちゃんがラフマニノフの「鐘」をオリンピックで使うときいて、私はこちらの「鐘」かと思ったくらいだ。

(追記 2010.03.02)
いまだに勘違いしている人が少なくないようなので改めて明記しておきますが、浅田さんの「鐘」はピアノのためのプレリュードをオケ用にアレンジしたもので、合唱交響曲の「鐘」とは別の曲です。念のため。

(追記 2010.03.03)
友人のpianophiliaさんが記事にしていらっしゃいました。(→ ピアノ音楽名盤選
浅田さんの使用曲はストコ版かなーと適当なことを想像していましたが、ヘンリー・ウッドの編曲だそうです。



ラフマニノフ / 合唱交響曲 「鐘」

・ 第3楽章




真央ちゃんが選んだ曲はプレリュード op.3-2の方だったわけだが^^、件の友人からはギレリスのすばらしい映像を教えてもらった。

ギレリス!


それで思い出したが、以前、NHKのBS2で放送もされたことのある「アート・オブ・ピアノ -20世紀の偉大なピアニストたち-」というドキュメンタリー番組(ビデオやDVDなども売られていたと思う)の中で私の大好きなピアニスト、ヨーゼフ・ホフマンが弾いていたのがこの曲だった。

ホフマン ラフマニノフを弾く!




※このドキュメンタリーに収録されているコルトーの「弾き語り『詩人は語る』」が私は大好きなのだ^^。


コルトーは語る…




それはさておき^^、

私がピアノデュオのコンサートに出かけることはそう多くはないのにもかかわらず、ラフマニノフの2台のピアノのための組曲が高い確率でプログラムに含まれている(ことに第2番が)。


組曲 第2番

・ 第1楽章



第2楽章
第3楽章
第4楽章


組曲 第1番 「幻想的絵画」

第1楽章
第2楽章
第3楽章

・ 第4楽章




ラフマニノフといえば、すぐれたピアニストだったことも忘れてはいけないのだが、私が真っ先に思い出すのは彼の弾いたシューマンの「謝肉祭」の「スフィンクス」の怪演(?)のことだ。この「スフィンクス」の音列をどう解釈してどう「処理」するかはピアニストによって「いろいろ」で、クララをはじめ、この音列そのものを弾かない演奏家もいるし、シューマンが楽譜に書いているのだから弾くのが妥当…という理由かどうかは知らないけれど、ちゃんと弾いている演奏家もいる。ただ、限られたCDでしか謝肉祭を聴いたことがない人がいるとすると、ひょっとしたら「スフィンクス」を弾いているピアニストの演奏にはじめて出会った時には面食らうかもしれない。というか、実はかつて私自身がそうだったのだ…。もう何度も何度もCDや演奏会で「スフィンクス」が弾かれるのを聴いているのに、やはり出かけた演奏会のプログラムに謝肉祭があって、その中でピアニストが「スフィンクス」を弾く時には、今でも妙にドキドキしてしまう^^

で、ラフマニノフの「スフィンクス」は低音部におどろおどろしい音が加えられていて、やはり聴くたびにぎょっとしてしまう。下のリンク先、パート1の8分36秒過ぎで聴けるので興味のある人はどうぞ^^

・ パート1



パート2
パート3

これがいかに変わっているか、という比較は以下の録音と比べてみるとよくわかる。

これの6分6秒過ぎのところ




ここまで書いてわかった(というか思い出した)。今日はラヴェル編曲「謝肉祭」を聴きに行かなかったかわりに、家で「謝肉祭」のことを考えていたんだなあ!


そして、例によって、オリンピックとラフマニノフの話題がなぜかシューマンで終わってるし…^^


【注】 リンク先の音楽ファイルは何かの都合で削除されている可能性があります。


Wednesday 18 February, 2009

 ・ 2008年 9月~12月
 (この2つ後の記事の末尾に公演の一覧表


●シュタイアー祭り

 この期間の演奏会として触れておきたいのは、なんといってもフォルテピアノのアンドレアス・シュタイアーのオール・シューマンのリサイタル。 (→ 詳細)  シュタイアーの来日にあわせてシューマンの新譜も発売され、さらには急遽、トークイヴェントも開催された。リサイタルのテーマは「シューマン・プログラム ― J.S.Bachへのオマージュ、おとなのためのメルヘン」だった。シューマンを演奏するのにあたって、なぜバッハへのオマージュとしたのかということがトークイヴェントのメインテーマだった。ステージの上にピアノ(リサイタルでも使われたフォルテピアノ)が用意され、シュタイアーが実際にピアノを弾きながら解説した。「たとえば、シューマンのこのようなフレーズに、バッハのこのような作品の影響がみられます」…と、シューマンとバッハを弾き比べ、解説してくれたのだが、これはとてもおもしろかった。

 シューマンがバッハの影響を受けていたことはあれこれの個々の作品の細かいところに見られるし(バッハ調のコラールが聞こえる、あるいはもっと露骨にBACHの名前が散りばめられている等々)、キャラクターピースを組み合わせて1つの作品としている点などにも見られるだろうし(バッハの「○○組曲」のように)、あるいはバッハの無伴奏の作品に敢えてピアノ伴奏をつけたシューマンの試みなどにも見られるだろう…というように、例をあげていったら本当にたくさん思いつく。…などということを改めて思い出した。

 さて、トークイヴェントの翌日のリサイタルは、言葉にしてしまうのがもったいないほどで、とても美しく、はかなく、夢見るような時間だった。このリサイタルの少し前、霊南坂教会で聴かせていただいた伊藤深雪さんの新しい、そしてすばらしいフォルテピアノを使っての演奏。

 シュタイアーが選んだテンポについて書いておく必要があるかもしれない。トッパンホールのウェブサイトに前マネージャーの武田浩之さんの文章が掲載されているのでそれを見ていただくといちばんよいのではないかと思う。私は事前にシュタイアーの新譜を入手して聴いてしまったので、まずCDを聴いた段階で「え?」と驚いてしまったが(特に子供の情景の第1曲など)、全体に通常演奏される場合より速い。たとえば若いピアニストがモダンピアノで同じようなテンポで弾いたとしたらどうだろう。私は強い違和感を覚えるのではないかとも思う。ところがシュタイアーの演奏だと、違和感なく、自然に、新鮮に、そしてなんともなつかしく聞こえる。なんという豊かな詩情。なんという夢幻。忘れがたいリサイタルだった。アンコールに弾かれたバッハも…。フォルテピアノでバッハ! それがなんとロマン的に聞こえたことか。至福の時間だった。

※あまりにも感動したので、シューマン・プログラムではなかったが、シュタイアーの2日目の演奏会(クリスティーネ・ショルンスハイムとのデュオコンサート)にも出かけてみたが、こちらもすばらしい演奏会だった…。


●フォルテピアノ祭り

 シュタイアーだけでなく、この期間にはフォルテピアノによるシューマンやシューベルトの演奏会を聴くことができたことも忘れがたい。シュタイアーのところでも触れたが伊藤深雪さんの新しいフォルテピアノの披露演奏会は(→ 詳細)、会場の霊南坂教会の雰囲気といい(ここには以前、昼間、オルガンを見せていただくために行ったことがあるが、夜、コンサートのために出かけたのはこれが初めてだった)、すばらしいピアノといい、伊藤さんの真摯で清らかな演奏といい、何もかもが印象に強く残る一夜だった。

 「デュオ 音の恵 (おとのえ)」(ヴァイオリン:山口幸恵、フォルテピアノ:七條恵子)のデビューコンサートも印象的だった。これもはじめて出かけた会場。池袋の自由学園明日館講堂。以前から行ってみたいコンサート会場のひとつだったが、ようやく念願かなったこともうれしかった。また若い古楽デュオの演奏は初々しく、純粋に音楽を聴く喜びを味わうことができた。

→ この時の明日館講堂の写真


 以前から1度聴いてみたいと思っていた平井千絵さんのリサイタルも聴くことができた。こちらもやはり出かけてみたいと思いつつ、なかなかその機会がなかった目黒・八雲のパーシモンホール。地下の小ホールが会場だったが、大きさがフォルテピアノを聴くのにはちょうどいいくらいだった。空間的にも親密なスペースだったが、平井さんのお話がとてもおもしろくて、お話と音楽が一層、親密で温かい時間を生み出していたと思う。これもすばらしいリサイタルだった。

→ この時のパーシモンホールの写真


書いているとどんどん長くなるのでここで分割。

まとめ (3)の(1) おわり。 (3)の(2) につづく。

→ このシリーズのもくじ


Monday 01 December, 2008

早世したピアニストのアンドレ・チャイコフスキーの頭蓋骨が、なんと、「ハムレット」の小道具として使われたそうです。頭蓋骨は本人の遺言でロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに寄贈されたもの。本人の遺言で公演でも使用されたとのことです。


小道具の頭がい骨は本物だった 英劇団のハムレット公演 (CNN / 日本語)

※CNNの英語版には記事が見つかりませんでしたが、探したらBBCに写真入りの記事が掲載されていました。

Bequeathed skull stars in Hamlet (BBC / 写真入り)


芝居じみた、非現実的にも感じられるエピソードです。シェイクスピア劇を愛するがゆえの遺言なのでしょうが…。いろいろな愛の形があるのだなあと思いました。

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