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Saturday 18 May, 2002

 ※過去の「青空日記」から移植した記事です。

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■2002年5月18日(土)


ジェフリー・アーチャー 『メディア買収の野望』
Archer, Jeffrey : The fourth estate
(永井淳訳、新潮文庫、上416p・下429p、1996)

 メディア買収を世界的に展開してきたロバート・マクスウェルとルパート・マードックを主人公にした小説。前半で主にイギリスとオーストラリアの新聞社の買収合戦を中心に、主人公のアームストロング(マクスウェルがモデル)とタウンゼント(マードックがモデル)がどのようにして強大なメディア帝国を築いていったかが、彼らの子供時代から大河ドラマのように描かれている。後半は2人がライバルとして対決する様子。それぞれが所有するイギリスの新聞を使っての、まさに「一騎打ち」。さらには2人のアメリカ進出について描かれている。






Friday 10 May, 2002

※過去の「青空日記」から移植した記事です。

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■2002年5月10日(金)


ジェフリー・アーチャー 『盗まれた独立宣言』
Archer, Jeffrey : Honour among thieves
(永井淳訳、新潮文庫、上314p・下298p、1993)

 アメリカの独立宣言のオリジナルをめぐるイラクとアメリカ、それにギャングのだましあい。独立宣言のオリジナルに誤記があることを巧みに利用したストーリー展開はおもしろかった。「そんなことに、よう気がついたもんや」としきりに感心した。しかし、イラクを、フィクションの中でとはいえ、ここまで「典型的な悪の組織」に描いていいのかなあと、何かひっかかるものがある。アーチャーはイギリス人なのに(しかも政治家なのに)、アメリカ政府=正義、イラク(フセイン)=悪と、こんなに明快に描いてしまっていいのかな、というか、よくもまあ、こんなに明快に(単純に)描けるよなとも思った。小説としてはよく書けていると思うのだけれど、こうした善悪の役割分担を見ても、ハリウッドで映画化しやすいように計算して書いたのかなと思わせるものがある。スティーヴン・セガール主演の「沈黙の戦艦」のような映画が好きな人にはおすすめできる本かなとは思う。







Wednesday 24 April, 2002

※過去の「青空日記」から移植した記事です。

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■2002年4月24日(水)


ジェフリー・アーチャー 『チェルシー・テラスへの道』
Archer, Jeffrey : As the crow flies
(永井淳訳、新潮文庫、上471p・下488p、1991)

 久しぶりにジェフリー・アーチャーの本を読んだ。彼の小説はイギリスが舞台でもアメリカが舞台でも、階級間の違いが如実に描かれていて(特に20世紀初頭が舞台の場合は)、普段そういうものをあまり意識することのない私には、結構、興味深いものがある。もっとも、アーチャーの小説より、現実のアーチャーの栄光と挫折とスキャンダルの人生の方がもしかしたらおもしろいかもとも思うのだけれど。

 この『チェルシー・テラスへの道』は前半は『ケインとアベル』を思わせるし、後半は『ロスノフスキ家の娘』を思わせるので、筋立てそのものには新奇さはないかもしれない。つまり、主人公のチャーリーはアベル、チャーリーのライバル(?)のガイはケイン、ガイの娘はロスノフスキ家の娘に置き換えて考えることも可能だろう。ストーリーは貧困層出身の少年チャーリーが、長じるに及んで、その商才を活かしてやがてはロンドン随一の大百貨店を築きあげるという立身出世もの。

 彼の小説を一気に読める理由は登場人物たちの「実用主義的な考え方」にもあるのかもしれない。わかりやすいドラマ(どこにでもありそうなドマラでありながら、そのプロットの絡み合いは実に見事)、映像的な場面描写も魅力だろう。人物たちの描き分けは巧みだし、その人物たちを描く人情味ある筆致に読む側は感情移入しやすい。また、こういう小説はドラマ化しやすいだろうなとも思う。





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