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Tuesday 21 December, 2004

 この Amazon.com への返金依頼の連絡は10月の終わりのことだ。本を発注してから100日が経過していた。お金はいつかは返ってくるだろうけれど、コトがすんなりと運ぶだろうかと、いささか不安だった。また、Amazon.com に送った事情説明のメールが簡潔すぎるものだったので、詳細をきかれたら、また英文メールの応酬がはじまって、貴重な時間とエネルギーが消えていくのだろうかなどと、いろいろ想像していた。


 が、すべて杞憂だった。 Amazon.com の担当者から、すぐにとても丁寧な謝罪のメールが届いた。ありがたいことに、「あなたがお書きになった経緯を拝見する限り、あなたはこの問題の解決に向けて非常に適切な行動をなさったと思います。しかし、そのことでも、この問題は解決不能のようですし、そのようなご迷惑をおかけしたことを、Amazon.comを代表して心からお詫びする次第で…」といった調子。この本は Amazon.com には在庫がないため、代品納入という形はとれませんが、代金の返却でしたら承りますので、返金を希望なさるかどうか、再度お知らせください云々。返金処理には2~3週間かかるでしょう云々。


 すぐに返金処理の依頼と、迅速な対応への感謝の意をメールフォームから再度送信し、そこで私の返金の依頼は完了。2冊の本は別個に処理がなされたものの、5日以内に Amazon.com での返金処理が完了した。これは10月の終わりのことだったけれど、翌月のカード明細に返金処理が記載された。支払った時は気にしなかったが、ドルでお金が戻ってくるということにハタと気がついてみれば(カード会社が円に換算してくれるとはいえ)、次の心配は円の値動きだった。本のそもそもの代金が高額だったため、購入時と返金時のレートに変動があれば、わずか1円2円違うだけでも千円単位で損益が出る可能性があったから、損失が出ないうちに返金処理が済めばいいのだがと内心ドキドキしながら返金を待っていた。結果的には、幸いなことにと言うか、うまい具合にと言うか、購入時と返金時のレートがほぼ同じで損失は出なかった。(返金処理が済んだのは1カ月くらい前の話だけれど、もし今、返金処理があったら、数千円の損失になった計算になるので、やっぱり運が良かったのだろう。)


 ということで、この問題は一応、解決した。しかし、発注した本が届かない、という最初の問題は未解決のままだ。貴重な本なのに、先人たちの文化的歴史遺産にも等しいものなのに、どこかの誰かの怠慢と無責任のせいで、それがどこかに失われてしまったかと思うと、誠に痛恨の極み。アリストテレスの書物が燃えて永遠に失われてしまった、あのウンベルト・エーコ/ジャン=ジャック・アノーの「薔薇の名前」を思い出さずにはいられない。あるいはレイ・ブラッドベリ/フランソワ・トリュフォーの「華氏451」を。本を失うことは、我々人類の過去や記憶を喪失することにも等しい。私にとっては、発注したものが届かなかったということ以上に、価値ある本が失われてしまったことの方が心の痛みとしては大きい。たとえ、その本が自分のものにならないとしても、その価値を知っている人が手に取ることのできる場所にあるのならまだ良いのだけれど、この場合、失われた小包はどこかの倉庫に紛れて埃をかぶっているかもしれないし、あるいは、間違った場所に置かれたがために、不用のものとして処分されてしまったかもしれない。そう考えると、なんとも悲しい気持ちになる。


(つづく)


Monday 20 December, 2004

 何かを買った時、何も問題がなければ、それで終わり。しかし、何か問題があれば、そして、その問題をどうにか解決しようと考えているのだったら、買った側は多大な労力と時間を費やさなければいけない。自分の落ち度で起きた問題でもないのに、なぜお客の私が、商品代金を払った上に、余計な労力と時間を使わなければいけないのか。考えてみると実に理不尽な話だ。「世の中とはそんなもの」と、分別くさく言ってしまえば、それまでのこと。けれど、原因はどこにあるかといえば、この場合は、円滑に働かなかったアメリカの郵便システムにある。誰かが仕事の上でミスを犯し、それが是正されないまま放置されているきらいがある。でなかったら、荷物は出てくるはず。出てこないということは、間違いが是正されないまま、どこかで放置されていることを示唆している。要するに、誰かが自分の仕事の責任を果たさず怠慢であったがゆえに、私が被害を受けた。怠慢とは、かくも遠くまで影響を及ぼすものだ。


 とかなんとか、いろいろ考えていても本は届かないし、このままではお金も戻ってこないので、古本屋さんの Bob さんに再度メールを出した。最初の問い合わせから3週間後のことだ。Bob さんからは「こちらの郵便局を再度確認しましたが、小包は戻ってきていませんでした。行方不明です。郵便局はどこにあるか突き止められないと言っています。代金については、これこれのアマゾンのページから返金請求を行ってください。もしも、後から小包が届いた場合はご連絡ください」というような短い返信があった。


 指定されたアマゾンのページへと飛んだけれど、返金の手続きはちょっとめんどくさい。自分の発注履歴のページを開き、そこから「問題が起きた時はこちらから連絡してください」みたいなリンクをたどっていくと、アマゾンの担当者へのメール送信フォームにつながるのだが、ネットに不慣れな人だったら、まごついて、返金請求どころではないのではないかなあと思ってしまった(加えて英語だし…)。ここからメールを送っても、アマゾンはそんなに簡単に返金なんかしないだろうなあ、などと思いながら、ともかく、本2冊のそれぞれのページから、ほぼ同一内容のメッセージを送った。


 手短に、なるべくわかりやすくこれまでの経緯を書き、「だから、返金にこたえてもらうより術はないのだ」ということを理解してもらえるように書いた。つまり「発注した本2冊が届かないままだ。売り手は2冊を1つの小包にまとめて7月半ばに船便で発送した。こちらとあちらの郵便局の双方が、小包はおそらく紛失したのだろうと言っているし、彼らはそれがどこにあるか突き止められないと言っている。売り手はアマゾンを介しての返金を申し出ているので、返金してほしい。すぐに返信乞う」…ざっとこんな感じ。


(つづく)


Sunday 19 December, 2004

 そこで、言われた通りに地元の郵便局に問い合わせてみた。
(郵便の配達の人が近所の人に預けて帰ることはないので、「近所の人にきいてみる」というのは除外した。)


 郵便局に電話をすると「調べてから折り返し電話しますから」と、こちらの連絡先をきかれた。待つこと数分、郵便局から電話がかかってきた。以下、郵便局の人の話。


……配達時に不在だからと持って帰った記録はありません。住所が不正確で配達できなかったそれらしいものもありません。アメリカからの船便が遅れているという話もきいていません。船便が届かないという問い合わせや苦情も、ほかからは入っていません。ただ、荷物が積まれた船がどこの港から出港したか(西海岸か東海岸か)によって、日本の港に着くまでに数週間くらいの差が出ることもあるので、予定より1カ月くらい遅れることもあり得るかも……。


 ほかに調べようはないのだろうかという質問に対して、


……国内の郵便物であれば、調査依頼をすれば追跡調査できますが、アメリカ国内の事情についてはこちらでは調べようがありません。日本の郵便局を通じてアメリカの郵便局に調査依頼を出せることは出せるけれど、返事がくるのに数カ月かかる上、「行方不明」で終わってしまうことが多いのが実情でして……。


 忙しい時間を割いてこれこれのことを丁寧に説明してくださった郵便局の方には深く感謝したい。結局、本はなかった。1週間経ち、Bob さんが言った「来週の水曜日」を過ぎても届かない。念のためにもう少し待ってみることにし(のんびり)、さらに2週間待ってみた。しかし、届かなかった。「もはや『遅れ』ではない。もう届かないのだ」と思って本については諦めるよりなさそうだった。


(つづく)


Saturday 18 December, 2004

 発注時に Amazon.com から届いたメールには「もしも9月○日までに商品が届かない場合は売り手に直接連絡してみてください」とあったが、もしかしたら遅れて届くかもしれないからと、Amazon.com が指定していた期限日からさらに3週間ほど待ってみた。(のんびり)


 しかし、やはり本は届かなかった。9月も終わりに近づいた頃、ようやく、古本屋にメールで問い合わせることにした。高い本だし、2冊もあるし、日本からの発注だから、適当にごまかされて、「うちは確かに送った。だから、そちらに届かないということについては関知しない」とでも言われて、あとは知らん顔をされたらどうしよう、やっぱりネット通販なんて利用するんじゃなかった…などなど、まあその時点で思いつく限りの不安材料が頭の中でわさわさと踊っていた。


 代金の支払いがもう済んでいたことと、支払った相手が、文句を言うべき古本屋ではなく Amazon.com だったことが一層不安をかきたてた。返金という事態になったら、誰が責任を持って返金してくれるのだろうということを考えると、それも不安なことに思えた。 だから、多くの国内の古本屋さんが支払い方法として採用している、「支払いは商品が届いてから後払い、もしくは代引で~」という形だったらよかったのにとつくづく思った。


 ともかく、まず古本屋に問い合わせのメールを出してみた。


「本がまだ届かない。『私の本』は確かに発送されたのか? 今どこにあるのか? 私はいつそれを受け取れるのか? 私はもう少し待つべきなのか? 私は何をどうしたらいいのだろう?」と。


 あくまでも照会なので、苦情めいた表現が紛れ込まないように、誤解が生じないように気をつけて、何度も読み返してメールを仕上げた。


 本は2カ月半待っても届かないままなのに、メールの返信はたった3時間後に届いた。担当の Bob さん曰く…



●2冊の本を一緒に送った。だから届く小包は1つだけ。


●7月中旬に確かにそちらに向けて発送済み。


●海外から発注してきたお客さんの中には、発送から商品の到着まで60日以上かかった人もいたので、もうちょっと待ってほしい。


●あなたの不在時に配達があって、配達の人が持ち帰ったとか、近所の人が預かっているということもあるかもしれないから、郵便局と近所の人に確認してほしい。


●我々の店では配達までを完全保証している。だから、もしも来週の水曜日までに商品が届かなかったら、支払い済みの代金を全額返金するので、再度連絡をして欲しい。


●こちらでも、発送元の郵便局に照会を行ってみるから。


●ともかく、郵便局にもう少し猶予期間をあげてほしい。というのも、我々が送ったものが届かなかったという例は、これまで、ほんの数パーセントしかなかったから。



 だいたい、こんな感じのことを言ってきた。全額返金という言葉に強く勇気づけられた。また、最後の「郵便局にもう少し猶予期間をあげてほしい」という言い方は、いかにもアメリカ人の物言いっぽくて、なるほどなあ~と妙に感心してしまった。


(つづく)


Friday 17 December, 2004

 届かなかった本とは、今年の7月に Amazon.com の Marketplace で発注した古本だ。数冊発注した中の、たまたま2冊が同じ古本業者の取り扱いだった。ほかの商品は新刊書も古本も中古のCDも、すべて滞りなくアメリカから届いた。これらは航空便扱いだったため、速いものは発注してから1週間とかからずに届いたし、ほとんどのものは、だいたい2週間以内には届いた。けれど、一番高価で、高価だからこそ発注するのに何度もためらった2冊の本だけが(もちろん、どうしても欲しい本だったけれど)、待てど暮らせど届かない…。


 Amazon.com と売り手の古本屋(*)の双方から、受注確認と発送確認のメールが早々に入っていたのにもかかわらず、本は到着予定の8月中旬を過ぎても届かなかった。船便だから、遅れることもあるだろう。とは思っても、オリンピックに浮かれた酷暑の8月も終わろうとする頃になると、流石に少し心配になった。9月になった。けれど、本は届かない。いやな予感がする。不安が日増しに募る。本が高価だということも心配の種だったけれど、それ以上に、稀少書籍だということがもっと大きな心配の種だった。絶版になって久しく、見つけた時にすぐ買わなければ、その後、何年もまた探しまわらなくてはならない、そのような本だからだ。今手に入らなかったら、いつ手に入れられるかわからないのだ。どうしてもその2冊の本が欲しいという一念で、「きっと無事に届くから、もう少し待ってみよう…」と信じて(というか自分で自分をなだめすかして…)待っているうちに9月も過ぎていった。


(つづく)


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(*)Marketplace では Amazon は売り手と買い手の仲介をネット上で行っているだけで、通常の発注と異なり、Amazon が在庫を管理したり発送を行ったりすることはない。Amazon.co.jp でも同じ。

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